NPO法が目指したもの

1998年3月に成立し、同年12月に施行された「NPO法(特定非営利活動促進法)」は、当初「市民活動促進法」という名称で議論されていました。最終段階で反対意見があって法律名称を変更しています。

立法運動の目的は、大きくは「(それまではほぼ出来なかった)市民活動団体が簡便に法人格を取得すること」「『公益性』を行政側ではなく市民社会側が判断すること」「そのような公益的な活動に対して税の優遇措置を与えること」でした。特に明治時代以来、行政が担ってきた『公(おおやけ)』のあり方についての議論とその結果としてのNPO法の立法は、市民社会の基盤になったと考えられます。

立法活動の特徴は、日本全国の市民、市民団体、各党派の議員、経団連(日本経済団体連合会)、研究者等が対話を重ね、その上で議員立法として国会で充実した議論を行って制定されたことです。立法が多様なセクターを巻き込みながらダイナミックな運動として行われた結果、関係した多くの方々が「自分も立法の一端を担った」と発言していることも他の法律にはない特徴の一つです。

*詳しくは、巻頭インタビュー「NPO法で目指したこと」松原明氏をご覧下さい。

*NPO法制度制定過程の概略は、こちらをご覧ください。

*当時の仔細は、Ⅳ-1.「市民が法律をつくる、活動を記録する、共有して学ぶ」(第1部)Ⅳ-2.「NPO法の持つ可能性と現在の課題」(第1部)をご覧下さい。

 

一方で2016年に行った連続企画では、当時の立法運動を担った方、NPO法人として第一線で活躍している方など複数の方から、「現在のNPO法の重要なポイントは法人格ではない」というニュアンスの発言がありました。時代が移り変わっていく中で、NPO法の遺伝子とは何か、今後の市民社会をどう考えるのか等、「NPO法が目指したもの」を今の視点で考え続ける必要があるのではないでしょうか。

*詳しくは、Ⅴ-1.鼎談「NPO法の遺伝子を、明日へつなぐ」をご覧下さい。

*これらについての議論は、Ⅳ-2.「NPO法の持つ可能性と現在の課題」(第2部)Ⅳ-3.「NPOの最前線の活動から市民社会の未来を考える」等をご覧下さい。

 

NPO法(法律全文)

NPO法(特定非営利活動促進法)の全文と制度改正等については、内閣府のHPで確認することができます。

*特定非営利活動促進法 全文(内閣府HP)平成23年改正版
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/20140520-hou-1.pdf

*法律・制度改正(内閣府HP)
https://www.npo-homepage.go.jp/kaisei